全額戻ってくるというのも,3年で戻るというふうに変わる。
前のシステムでやるなら今のうちにやっておいた方が良い。」などと申し向け させ,Dをして,1口当たり105万円を被告人らに預ければ,約束の期限ま でに確実に127万円が被告人らから支払われる旨誤信させ,よって,同年9 月5日ころ,宮城県内所在のd銀行e支店から同支店に開設された,乙の北海 道・東北地区本部長である分離前相被告人Fが管理する真珠の会香僚代表F名 義の普通預金口座に振込送金させて,現金315万円の交付を受け,もって人 を欺いて金員の交付を受けた
2 平成17年8月上旬ころ,前記美容室c駐車場において,Gに対し,前同様 に装い,かつ,前同様に情を秘し,情を知らないDをして,「Eから聞いた話 で,今度投資の変更がある。
真珠がもらえなくなって,購入しなければいけな いし,これまでの約束だと19か月で配当が支払われるということだったのが, 3年に延びる。
仕組みは9月から変わる。
もし今後投資する予定があれば,8 月中の方がいい。」などと申し向けさせ,Gをして,前同様に誤信させ,よっ て,同年8月29日ころ,前記d銀行e支店から前記F名義の普通預金口座に 振込送金させて,現金315万円の交付を受け,もって人を欺いて金員の交付 を受けた
3 平成17年8月31日ころ,宮城県内所在のFが使用する事務所において, Hに対し,前同様に装い,かつ,前同様に情を秘し,被告人が,「今クレジッ ト関係の方でトラブルが起きていて遅れているが,そっちの方もだんだん片付 いてきているので,落ち着いたらちゃんと配当を入れる。
真珠養殖は順調に行 っているし,第2ステージだということで,セラミックの事業に着手して今研 究をしている。
第2ステージの方がうまくいけば,前の方にも還元できる。
前 と同じやり方で期間だけ3年でやりましょう。
1回目が3万8000円で,2 回目からが3万5200円ずつになって3年で127万返す。」などと申し向 け,Hをして,前同様に誤信させ,よって,同年9月2日ころ,仙台市内所在 のd銀行f支店から前記F名義の普通預金口座に現金200万円を,さらに, 同月5日ころ,上記d銀行f支店から上記F名義の普通預金口座に現金10万 円をそれぞれ振込送金させて,そのころその各交付を受け,もって人を欺いて 金員の交付を受けた
4 平成17年9月12日ころ,宮城県内所在のラウンジgにおいて,Iに対し, 前同様に装い,かつ,前同様に情を秘し,情を知らないJをして,「乙は真珠 養殖への投資を募っている。
乙の社長が被告人である。
投資の仕組みは,1口 105万円で1回目の振込みは3万8000円,2回目から36回目までは3 万5200円で合わせて127万円になり,真珠ももらえる。
確実にもらえ る。」などと申し向けさせ,Iをして,前同様に誤信させ,よって,同日ころ, 宮城県内所在のd銀行h支店から前記F名義の普通預金口座に振込送金させて, 現金105万円の交付を受け,もって人を欺いて金員の交付を受けた ものである。
(証拠の標目)
省略
(事実認定の補足説明)
第1 争点
弁護人は,出資の受入れ,預り金及び金利等の取締りに関する法律(以下 「出資法」という。)違反事件について,(A)判示第1別表「預託者」欄記載 の者から受け取った金員は,真珠の売買代金であって,被告人らは,真珠の購 入者に対し,月々の支払を続けていたが,これは真珠養殖事業の利益還元とし て行っていたもので,そもそも購入代金を返還する法的義務はない旨,詐欺事 件について,(B)Dらから受け取った金員も,上記(A)と同様に被告人に返還義 務はない,(C)仮に返還義務があったとしても,被告人は,Dらから金員を受 け取った当時,これを返還することは可能であり,かつ返還しようと考えてい た,(D)Dらは,返還されないかもしれないリスクを了解した上で,金員を出 捐しており,被告人らに欺罔行為はない旨述べ,被告人もこれに沿う供述をす るので,以下,順に検討する。
第2 出資法違反事件−争点(A)について
1 証拠上明らかに認められる事実
(1) 被告人は,乙及び甲の代表取締役として両社を統括する立場にあり,Aは, 被告人の内妻で,乙の商品の仕入れ及び管理,資金の出納等の業務を担当し ていた。
(2) Bは,乙の総括本部長,Fは,北海道・東北地区本部長の肩書で,平成1 7年以前から,Bの地元である山梨県や,Fの地元である宮城県等において, 顧客に対し,乙会等への入会を勧誘することに従事していた。
(3) Bらによる勧誘から入会に至る流れは次のようなものであった。
債務の全額を弁済
不動産を目的とする譲渡担保において,被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ,その旨の登記がされたときは,設定者は,差押登記後に債務の全額を弁済しても,第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないと解するのが相当である。
なぜなら,設定者が債務の履行を遅滞したときは,譲渡担保権者は目的不動産を処分する権能を取得するから(最高裁昭和55年(オ)第153号同57年1月22日第二小法廷判決・民集36巻1号92頁参照),被担保債権の弁済期後は,設定者としては,目的不動産が換価処分されることを受忍すべき立場にあるというべきところ,譲渡担保権者の債権者による目的不動産の強制競売による換価も,譲渡担保権者による換価処分と同様に受忍すべきものということができるのであって,目的不動産を差し押さえた譲渡担保権者の債権者との関係では,差押え後の受戻権行使による目的不動産の所有権の回復を主張することができなくてもやむを得ないというべきだからである。
上記と異なり,被担保債権の弁済期前に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえた場合は,少なくとも,設定者が弁済期までに債務の全額を弁済して目的不動産を受け戻したときは,設定者は,第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができると解するのが相当である。
なぜなら,弁済期前においては,譲渡担保権者は,債権担保の目的を達するのに必要な範囲内で目的不動産の所有権を有するにすぎず,目的不動産を処分する権能を有しないから,このような差押えによって設定者による受戻権の行使が制限されると解すべき理由はないからである。
山梨県や宮城県等のレストランで食事会を開催し,食事会に来た顧客に 対し,真珠の現物を展示したり,真珠商品のカタログを見せるなどして勧 誘を行う。
入会方法としては,現金を出す場合と,信販会社を利用したクレジット 契約による場合の2種類があったが,現金による場合は,口数(1口10 5万円で,一度に何口でも可能)及び希望する真珠の種類を選び,申込書 (「乙会会員申込書」)に氏名等を記入の上,Bが管理する丙名義の預 貯金口座に金員を振り込む。
Bは,振込みを確認後,1口につき40万円を手元に残し,残りの65 万円を乙や被告人個人の口座に振り込むとともに,その顧客の名前と顧客 が希望する真珠の種類を茨城県笠間市にある乙事務所に伝える。
乙事務所からBに対し,真珠商品が送られる。
Bは,真珠商品及び売買契約書(買主欄を空欄にしたもの),納品書等 を顧客に発送し,顧客は,売買契約書の買主欄に自らの名前を記載してB に返送する。
Bは,手元に残した金員(1口につき40万円)を,自らや顧客の勧誘 に関わった者らで分配する。
なお,この分配金は「お手間代」と呼ばれ, 実質的には紹介手数料の支払に当たるものである。
顧客が上記手続を経て会員となると,自らを直接勧誘した者(紹介者) の傘下に入り,その親戚や知人ら周囲の者に対し,食事会への参加を呼び 掛けたり,自ら入会を勧誘するなどして新たな会員の獲得を目指す。
(4) Bらが顧客に渡す真珠商品は,いずれも被告人の指示を受けてAが業者か ら買い付けたものであり,その仕入価額は10万円前後であった。
(5) 出資法違反に係る起訴のうち,別表番号5,6を除く「預託者」欄記載の Cら20名は,いずれもB傘下の「共犯者」欄最下段記載の者が紹介者とな り,「預り年月日」欄記載の日時に,「預り場所」欄記載の口座に「預り金 額」欄記載の金額を振り込んだ。
(6) Cらに対して,乙が資金不足に陥り,郵便貯金口座を振込指定口座にして いた者らに対する支払が停止した平成17年7月末ころまでは,振込みの翌 月に1口当たり3万円,2か月目以降は1口当たり2万5000円が乙から 支払われた。
(7) K(別表番号5)及びL(別表番号6)は,Bらとは別に,愛媛県内で勧 誘活動をしていたMから勧誘され,平成17年3月中にそれぞれ200万, 100万円を乙の口座に振り込んだ。
Kらについても,B傘下の者への勧誘 と同様に,真珠商品が送られ,売買契約書が交わされた。
(8) Kらに対しては,平成17年12月末ころまで,振込みの翌月に1口当た り3万9200円,2か月目以降は3万5900円が乙から支払われた。
(9) 被告人は,勧誘に先立ち,会員に対する月々の支払額及び支払時期をあら かじめ決めてBらに伝えており,会員が入会した後は,Aに指示するなどし てその支払を行った。
(10) また,被告人は,Bらが開催する食事会にもしばしば参加して,乙の事 業について説明したり,会員を甲の真珠養殖場に招待したりして,更なる入 会を促していた。
(11) 平成17年7月末ころ,乙から,郵便貯金口座を振込指定口座とする会 員に対する同月分以降の支払が滞り,会員から強いクレームが出たことから, 被告人は,会員に対する説明会を開催したり,弁護士を通じて文書を会員宛 てに送付するなどして,会員に理解を求めた。
2 売買契約とみることの不自然性
上記のとおり,乙会に入会する際に,乙に対し一定額の金員を振り込み,こ れに対して,真珠商品が乙から送付され,乙と会員の間で売買契約書が交わさ れている。
これを形式的にみると,両者の間で真珠商品の売買契約が成立して いるようにも見えるが,真珠商品自体の価値(仕入価額10万円前後)が振込 金額(105万円)に比べて著しく低額であること,一度に何口もの入会をし たり,繰り返し入会している者や,知人や親戚の名前を借りてまで入会する者 が相当数いること,入会後の月々の支払が滞った際に,会員から強いクレーム が出て,被告人がこれに対応するための説明会を開催したり,弁護士名義の書 面を送付したりしていることなどからすると,これを単純な売買契約であると みるのは余りに不自然である。
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
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